工程 | マシニング+旋盤 | 複合旋盤 |
M1/LS | 10分 | 3分 |
M2/L2 | 230分 | 20分 |
L2 | 46分 | 52分 |
合計 | 4時間46分 | 1時間15分 |
アルミホイール加工では、複合旋盤で加工した場合、その所要時間はマシニングの半分になる。大幅に違うのはマシニングの場合、窓加工を合わせて少しづつ掘り込みで行い、仕上げなくてはならないためです。
それに対して複合旋盤加工では、あらかたの旋削加工は済ませておいた後、窓加工の部分だけ取り代を少し残しておいてポケットの加工を行います。この時、掘り込みでポケット加工を行うのではなく輪郭加工で穴をとり除き、最後に1工程で旋削仕上げ加工を行うため、この半分の時間が実現できるのです。
複合旋盤で薄肉加工を行う場合、特に重要視する点はそのチャッキング(把持)技術にあります。今回のアルミホイールのような薄肉ワーク(品物)では、チャッキング部分が少ないため、強く掴んでしまうと変形を起こし、また弱く掴んでしまうとワークがチャックから取れてしまうといった現象を起こしてしまい、要求されている寸法精度内に製作すのは困難です。その要求精度が、0.03mm以下であればなおさらです。
弊社では、幅が4mm程度であれば、1mmほどの深さのチャッキングでφ200mmのワークを把持し、旋盤加工することができます。これは、チャッキングによる外部応力の影響を極力少なく抑えることが可能になるのと同時に、少しの把持部分でチャッキングできます。高価な治具を使用することなく薄肉品の高精度切削加工が実現できるため大幅なコストダウンが可能です。
チャック圧の歪みがどうしても除去できない場合、特に板厚が3mm以下で表面積が大きいディスクなどは、弊社独自開発の「貼り付け工法」でチャッキングを行い、平坦度0.03mm以下(最高精度0.007mm)を実現しています。この工法は、治具とワークの間に緩衝材を介して接着し、内部応力を保持したまま(自然体の状態)で切削を行うため、治具から外しても変形を起こさないという特徴があります。この工法を応用すると、異形物でチャッキングする部分がないようなワークでも、高価な治具を作成することなく高精度な加工が可能です。そのため大幅なコストダウンにつながるのです。