薄肉切削(旋盤)加工とは、高精度を保ちながら極限まで薄く削り込む加工のことです。
薄肉形状に対する切削(旋盤)加工は、自動車向け軽量部品や産業設備向け高精度部品などで要求されますが、簡単なものではありません。
5ミリ以下の板厚・肉厚の切削(旋盤)加工では強度が弱くなってしまうため、素材が持っている内部応力による変形が端的に現れてしまいます。また、薄くするためにはプレス・絞りなどの加工方法によって品物を作りますが、これらの加工方法では寸法精度が100~300ミクロン(0.1mm~0.3mm)の変形を余儀なくされてしまいます。
一方、精度を出すためには切削によって製作しますが、通常の保持方法では外部応力が直接品物に影響してしまうため、変形量は莫大なものになります。
このようなことから、一般的な構造品では精度を保ちながら5ミリ以下を実現することは困難なのです。
弊社の薄肉切削(旋盤)加工技術を使用すると5ミリ以下の板厚・肉厚の製品でも、20ミクロン以下(0.02mm)の寸法精度を保証することが可能となり、製品の軽量化を保ちながら高精度を実現することができます!
3ミリ以下の板厚品においては、他メーカーは特殊な保持治具を製作することで加工は可能ですが、製作に多くの時間とコストがかかります。 弊社では独自の貼付工法によって、高価な治具を使わずにミクロンオーダーの加工が可能となっています。
また、3ミリ以下の薄肉品を加工する場合は、一般的には特殊なチャック(コレットチャック等)を使用しますが、弊社では通常の三爪チャックを使用します。 これにより、高価な特殊チャックを使用せず(コスト)、さらに短い製作期間(納期)に対応することが可能です。
丸棒の場合
三つ爪で把持しても素材の切粉および素材自体で熱を放出します。また、素材自体の硬度が高いため変形を起こしづらく、容易に切削(旋盤)加工が可能です。
パイプ材の場合
片肉5mm以下のパイプ材では、熱伝導の影響がダイレクトに出てしまうため、素材変形を起こしてしまいます。そのため、より接触面の大きい円形爪を使用し熱の解放および切削条件を落として熱による変形を和らげることができます。
薄板材の場合
通常、薄板ものは冶具に取り付けて加工しますが、把持している以外の接触面積が少ないため熱の解放が起こりづらく変形を多くしてしまいます。 山岸製作所では、独自の貼付工法によって全面接触させ、熱の解放をおこない変形を少なくしてミクロンオーダーの寸法を出しています。